気になる新刊

【2022年7月】気になる新刊10選

2022年7月8日

はじめに

2022年7月の新刊960冊のなかから、文芸編集者の気になる10冊を厳選!
いま話題の小説、ベストセラー作家の新刊など、注目作品が盛りだくさん。ぜひこれからの本選びの参考にしてください!

オススメ作品

瀬尾まいこ『掬えば手には』

『そして、バトンは渡された』本屋大賞受賞作家の “究極に優しい物語”。荒んだ心を癒やしてくれそうな、瀬尾まいこさん独特のあたたかさがありそうな1冊です。

こんな人におすすめ

  • 本屋大賞作家を読みたい
  • 料理の描写が好き
  • ほっこり癒やされたい
  • 優しい気持ちになりたい
  • 平凡さに悩んでいる

私は、ぼくは、どうして生まれてきたんだろう?大学生の梨木匠は平凡なことがずっと悩みだったが、中学3年のときに、エスパーのように人の心を読めるという特殊な能力に気づいた。ところが、バイト先で出会った常盤さんは、匠に心を開いてくれない。常盤さんは辛い秘密を抱えていたのだった。だれもが涙せずにはいられない、切なく暖かい物語。

講談社HP

瀬尾まいこさんのオススメ本はこちらの記事で紹介しています!↓

小砂川チト『家庭用安心坑夫』

群像新人文学賞受賞後、そのまま芥川賞候補作にノミネートされた期待のデビュー作! “人間の根源的恐怖” に迫る、純文学としても読み応えがありそうです。

こんな人におすすめ

  • 芥川賞候補作を読みたい
  • 純文学作品が好き
  • 根源的恐怖に迫りたい
  • 地方から上京してきた
  • 幻想的な小説を読みたい

夫との平穏にみえる家庭に漠然とした不安を抱えた専業主婦小波が、ある日、日本橋三越の柱に、幼いころ実家に貼ったはずのシールがあるのを見つけたところから物語は始まる。小波はいまも実在する廃坑テーマパークに置かれた、坑夫姿のマネキン人形があなたの父親だと母に言い聞かされ育つが、やがて東京で結婚した彼女の日常とその生活圏いたるところに、その父ツトムが姿を現すようになって……。
現実・日常と幻想・狂気が互いに浸蝕し合いながら、人間の根源的恐怖に迫っていく作品。想像力と自己対話によって状況を切り抜け成長していく主人公は不可思議で滑稽な言動と行動に及ぶが、それがかえって小説としての強度となり、ある種のユーモアを孕みながら読む者を惹き込み、我々を思ってもみなかったような想定外の領域へと運んでいく。

講談社HP

鈴木涼美『ギフテッド』

元AV女優で社会学者の鈴木涼美さんによる初小説。“新世代の日本文学”と銘打たれ、芥川賞候補にノミネートされています。

こんな人におすすめ

  • 芥川賞候補作を読みたい
  • 純文学作品が好き
  • 「死」について考えたい
  • 詩を読むことが好き
  • 母娘の関係に悩んでいる

第167回芥川賞候補作にして、『「AV女優」の社会学』『体を売ったらサヨウナラ』などで知られる鈴木涼美の、衝撃的なデビュー中編。歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの「私」は、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出すが、成功を収めることはなかった。濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った女友達のことだった――「夜の街」の住人たちの圧倒的なリアリティ。そして限りなく端正な文章。新世代の日本文学が誕生した。

文藝春秋HP

第168回芥川賞にも「グレイスレス」がノミネート!候補作はこちらの記事で紹介しています!↓

斎藤真理子『韓国文学の中心にあるもの』

韓国ドラマ、韓流アイドルにつづいて韓国文学もいま日本で売れています。爆発的ヒットとなった『82年生まれ、キム・ジヨン』翻訳者の斎藤真理子さんによる本格読本として期待できそうです。

こんな人におすすめ

  • 韓国文学に興味がある
  • 韓国について知りたい
  • 韓国ドラマをよく観る
  • 翻訳小説をよく読む
  • フェミニズムを学びたい

なぜ、韓国文学はこんなに面白いのか。なぜ『82年生まれ、キム・ジヨン』は、フェミニズムの教科書となったのか。世界の歴史が大きく変わっていく中で、新しい韓国文学がパワフルに描いているものはいったい何なのか。その根底にあるのはまだ終わっていない朝鮮戦争であり、またその戦争と日本は深くつながっている。ブームの牽引者でもある著者が、日本との関わりとともに、詳細に読み解き、その面白さ、魅力を凝縮する。

イースト・プレスHP

今村翔吾『蹴れ、彦五郎』

『塞王の楯』で直木賞を受賞した歴史時代作家による待望の新刊!今川義元の嫡男が主人公の表題作を含む短編集のようです。

こんな人におすすめ

  • 直木賞作家を読みたい
  • 歴史小説が好き
  • 大河ドラマをよく観る
  • 戦国時代にときめく
  • 短編小説を読みたい

桶狭間での父義元の急死を受け、 彦五郎氏真は駿河今川氏の当主となった。
だが、落日はすぐそこに――家臣だった松平元康(徳川家康) は離反、 甲斐武田からも圧迫され、 正室である相模北条氏の娘・早川殿とともに転々と落ちゆく日々。そんな中にも救いはあった。 氏真は近江の寺で出会った童子たちの師となり、ある希望を抱く。 しかし無常にも、天下をその掌中に収めつつあった織田信長は、氏真と心通わせた子らを叛乱の縁者として殺してしまう。 蹴鞠の名手であり、歌をこよなく愛した男が見せた最後の心意地とは…… ( 「蹴れ、彦五郎」)
小田原征伐で奮戦した北条氏規を描いた「狐の城」、信玄が廃嫡した武田義信の苦悩の物語「晴れのち月」、江戸を築いた太田道灌を綴る「瞬きの城」など、珠玉の八編を収録。

版元ドットコム

新川帆立『先祖探偵』

東大法学部出身&弁護士&元プロ雀士という異例の経歴を誇り、『元彼の遺言状』『競争の番人』など書いた作品が次々ドラマ化される、いまもっとも旬な作家の最新ミステリ!

こんな人におすすめ

  • いま旬な作家を読みたい
  • 探偵小説をよく読む
  • 一人旅行が好き
  • 美味しい料理が好き
  • マイペースに暮らしたい

ひとりでも寂しくない。 私はもっと、強くなれる――。 「あなたのご先祖様を調査いたします」 風子は、母と生き別れてから20年以上、 野良猫のように暮らしてきた。 東京は谷中銀座の路地裏で、探偵事務所を ひらいている。 「曾祖父を探してください」「先祖の霊のたたりか もしれないので、調べて」など 様々な、先祖の調査依頼が舞い込む。 宮崎、岩手、沖縄…… 調査に赴いた旅先で美味しい料理を楽しみながら、 マイペースで仕事をしている風子。 いつか、自らの母を探したいと思いながら―― 大人気作家による「探偵小説」の傑作が、ここに誕生。

KADOKAWA HP

山下紘加『あくてえ』

帯文では、『推し、燃ゆ』で芥川賞を受賞した宇佐見りんさんが激賞。芥川賞候補ノミネート作品です。受賞作決定は20日。それまでに全作品読破してぜひ、受賞予想を!

こんな人におすすめ

  • 芥川賞候補作を読みたい
  • 純文学作品が好き
  • 介護について考えたい
  • 高齢者と同居している
  • 言っていない愚痴がある

あたしの本当の人生はこれから始まる。小説家志望のゆめは90歳の憎たらしいばばあと母親と3人暮らし。ままならなさを悪態に変え奮い立つ、19歳のヘヴィな日常。

河出書房新社HP

今村夏子『とんこつQ&A』

『むらさきのスカートの女』で芥川賞受賞、芦田愛菜さん主演で話題を呼んだ『星の子』の今村夏子さんの短編集。ぞくりとする日常を味わえそうな1冊です。

こんな人におすすめ

  • 芥川賞作家を読みたい
  • 純文学作品が好き
  • 笑いと恐怖を味わいたい
  • 「普通さ」を考えたい
  • 人間関係に悩んでいる

真っ直ぐだから怖い、純粋だから切ない。あの人のこと、笑えますか。“普通”の可笑しみから、私たちの真の姿と世界の深淵が顔を出す。
大将とぼっちゃんが切り盛りする中華料理店とんこつで働き始めた「わたし」。「いらっしゃいませ」を言えるようになり、居場所を見つけたはずだった。あの女が新たに雇われるまでは――(「とんこつQ&A」)
姉の同級生には、とんでもない嘘つき少年がいた。父いわく、そういう奴はそのうち消えていなくなってしまうらしいが……(「嘘の道」)
人間の取り返しのつかない刹那を描いた4篇を収録、待望の最新作品集!

講談社HP

綿矢りさ『嫌いなら呼ぶなよ』

『インストール』で衝撃的デビュー、『蹴りたい背中』で金原ひとみさんとともに史上最年少で芥川賞を受賞した綿矢りささんによる作品集。 “新境地” に期待です!

こんな人におすすめ

  • 芥川賞作家を読みたい
  • 純文学作品が好き
  • アウトドアよりインドア
  • 暴力について考えたい
  • 心の闇を見つめたい

「一応、暴力だろ。石でも言葉でも嫌悪でも」。妻の親友の家に招かれた僕。だが突然僕の行動をめぐってミニ裁判が始まり……心に潜む “明るすぎる闇“に迫る綿矢りさ新境地!

河出書房新社HP

住野よる『腹を割ったら血が出るだけさ』

“キミスイ” こと、『君の膵臓をたべたい』で社会現象を巻き起こした住野よるさんの “極上の瀬一瞬群像劇”。今回も秀逸なタイトルに注目が集まります。

こんな人におすすめ

  • 大人気作家を読みたい
  • 青春小説が好き
  • 友情や恋愛を考えたい
  • リア充を演じている
  • 愛されたいと思っている

高校生の茜寧は、友達や恋人に囲まれ充実した日々を送っている。しかしそれは、「愛されたい」という感情に縛られ、偽りの自分を演じ続けるという苦しい毎日だった。ある日、茜寧は愛読する小説の登場人物、〈あい〉にそっくりな人と街で出逢い――。 いくつもの人生が交差して響き合う、極上の青春群像劇。

双葉社HP

以上、2022年7月の気になる新刊10選でした。読んでみたい作品が見つかったらうれしいです。
Amazonなどのネット書店でも、地元の書店でも、ぜひ予約して買い逃しがないようにしてくださいね! 

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