気になる新刊

【2023年6月】気になる新刊10選

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はじめに

2023年6月の新刊740冊のなかから、現役文芸編集者の気になる10冊を厳選!
続々刊行の芥川賞候補作、直木賞&本屋大賞作家の実験作にも注目です!

オススメ作品

坂元裕二『怪物』

是枝裕和と坂元裕二がタッグを組み、圧巻のヒューマンドラマでカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した映画『怪物』のノベライズ。

こんな人におすすめ

  • 映画『怪物』を観た
  • 坂元裕二の脚本が好き
  • 純文学をよく読む
  • 家族のあり方を考えたい
  • 人生を見つめ直したい

是枝裕和監督と坂元裕二がタッグを組んで贈る、圧巻のヒューマンドラマ『怪物』。第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、稀代のストーリーテラー・坂元裕二のシナリオに世界が注目を寄せています。安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子ら実力派キャストが勢揃いし、映画初出演となった黒川想矢と柊木陽太が二人の少年をみずみずしく情感豊かに演じました。

その魅力の核心には、家族のあり方や子どもならではの揺らぎなど、是枝裕和監督と共通するモチーフに取り組んできた坂元裕二が紡ぐ物語にあります。このシナリオブックでは、本作の"決定稿"を完全収録。映画鑑賞後に読むと、また味わい深い、坂元裕二脚本の妙ともいえる、軽妙なセリフまわしや、すれ違う登場人物の繊細な描写。

KADOKAWA HP

石田夏穂『黄金比の縁』

不当な辞令に憤る人事部採用チームの小野は、顔の縦と横の「黄金比」にもとづき人事採用をおこなう。その「縁」が手繰り寄せた会社の思わぬ真実とは……。

こんな人におすすめ

  • 注目作家を読みたい
  • 就活に悩んでいた
  • 人事部に在籍していた
  • ルッキズムを考えたい
  • 会社に不満がある

「会社の不利益になる人間を採る」不当な辞令に憤る人事部採用チームの小野は、会社への密かな復讐を始める——。

(株)Kエンジニアリングの人事部で働く小野は、不当な辞令への恨みから、会社の不利益になる人間の採用を心に誓う。彼女が導き出した選考方法は、顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶというものだった。自身が辿り着いた評価軸をもとに業務に邁進していくが、黄金比の「縁」が手繰り寄せたのは、会社の思わぬ真実だった……。

ボディ・ビルを描いた『我が友、スミス』で鮮烈なデビューを果たした著者が、本作では「就活」に隠された人間の本音を鋭く描く!

集英社HP

多崎礼『レーエンデ国物語』

家柄に縛られてきた貴族の娘・ユリアは英雄の父と旅に出る。呪われた地・レーエンデでであたのは、寡黙な射手・トリスタンだった。壮大な王道ファンタジー。

こんな人におすすめ

  • ファンタジーが好き
  • 『ナルニア国物語』が好き
  • 冒険小説が好き
  • 切ない恋心を味わいたい
  • 美しい描写が読みたい

異なる世界、聖イジョルニ帝国フェデル城。家に縛られてきた貴族の娘・ユリアは、英雄の父と旅に出る。呪われた地・レーエンデで出会ったのは、琥珀の瞳を持つ寡黙な射手・トリスタンだった。空を舞う泡虫、乳白色に天へ伸びる古代樹、湖に建つ孤島城。その数々に魅了されたユリアは、はじめての友達、はじめての仕事、はじめての恋を経て、やがてレーエンデ全土の争乱に巻き込まれていく。

講談社HP

金原ひとみ『腹を空かせた勇者ども』

陽キャ中学生レナレナが、「公然不倫」中の母とともに未来をひらく。芥川賞作家の新境地、知恵と勇気の爽快青春小説。

こんな人におすすめ

  • 芥川賞作家が読みたい
  • 明るい気分になりたい
  • 青春小説が好き
  • 陽キャに憧れる
  • 母娘の物語が読みたい

私ら人生で一番エネルギー要る時期なのに。ハードモードな日常ちょっとえぐすぎん?――陽キャ中学生レナレナが、「公然不倫」中の母と共に未来をひらく、知恵と勇気の爽快青春長篇。

皆が違って複雑で、困難がデフォルトの今を見つめる、幼くタフで、浅はかだけど賢明な、育ち盛りの少女たち。『蛇にピアス』から20年、『マザーズ』から12年を経て、著者が辿り着いた新たなる世界。

河出書房新社HP

坂本龍一『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』

自らに残された時間を悟り、音楽の天才は語り始めた。創作や哲学、音楽活動、がんとともに生きること。最期の日々を綴った決定的自伝。

こんな人におすすめ

  • 坂本龍一が好き
  • 音楽が好き
  • 家族が病気になった
  • 人生を見つめ直したい
  • 死に向き合いたい

自らに残された時間を悟り、教授は語り始めた。創作や社会運動を支える哲学、国境を越えた多彩な活動、坂本家の歴史と家族に対する想い、ガンと共に生きること、そして自分が去ったあとの世界について――。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』(2009年)を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。

新潮社HP

市川沙央『ハンチバック』

側弯症の井沢釈華は、両親が遺したグループホームの自室からこたつ記事を書き、通信制大学に通い、TL小説を投稿する。ままならない身体を当事者が描いた衝撃作。

こんな人におすすめ

  • 芥川賞受賞作が読みたい
  • 話題作が読みたい
  • 純文学をよく読む
  • 障がいについて考えたい
  • ぶっ飛んだ小説を読みたい

「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす——。

文藝春秋HP

恩田陸『夜果つるところ』

遊郭「墜月荘」で暮らす「私」は、館に出入りする男たちの宴会に迷い込む。それは夥しい血が流れる惨劇の始まりで……『鈍色幻視行』作中作を完全書籍化。

こんな人におすすめ

  • 『鈍色幻視行』を読んだ
  • 実験作を読みたい
  • メタフィクションに興味がある
  • ミステリをよく読む
  • 幻想小説が好き

遊廓「墜月荘」で暮らす「私」には、三人の母がいる。日がな鳥籠を眺める産みの母・和江。身の回りのことを教えてくれる育ての母・莢子。無表情で帳場に立つ名義上の母・文子。ある時、「私」は館に出入りする男たちの宴会に迷い込む。着流しの笹野、背広を着た子爵、軍服の久我原。なぜか彼らに近しさを感じる「私」。だがそれは、夥しい血が流れる惨劇の始まりで……。

謎多き作家「飯合梓」によって執筆された、幻の一冊。『鈍色幻視行』の登場人物たちの心を捉えて離さない、美しくも惨烈な幻想譚。

集英社HP

こざわたまこ『教室のゴルディロックスゾーン』

中学校のクラスに馴染めない依子。クラス替えをきっかけに、唯一の友人、さきにも避けられるようになってしまい……。孤独に寄り添う青春小説。

こんな人におすすめ

  • 中学生・高校生である
  • 周囲に馴染めず悩んでいる
  • 孤独を感じている
  • 優しい気持ちになりたい
  • 青春小説が読みたい

中学校のクラスに馴染めず、現実から妄想の世界に逃げがちな依子。彼女が頼れるのは 父と、幼い頃から一緒に育ってきた愛犬のトト、そしてたった一人の友人・さきだけだった。しかしクラス替えからしばらくして、さきは依子を避けるようになる。どうして? なんで? 今までのようにさきと仲良くしたい依子だったが、新しい友達と一緒にいるさきは、話し掛けてもすぐに離れていってしまう。

いっぽう、クラスメイトの伊藤さんは、クラスでいちばん目立つグループに所属しながらも、誰にでも分け隔てなく接してくれる女の子。優等生タイプの子にも、オタクっぽい子にも、そして依子にも話し掛けてくれる。そんな彼女を好ましく思う依子だったが、伊藤さんと同じグループのリーダー・濱中さんに苦手意識を抱いているため、自分から話し掛けることはできなかった。その後、事態は伊藤さんのけがを契機に思わぬ展開を見せる。

小学館HP

乗代雄介『それは誠』

修学旅行で東京を訪れた4人の高校生たち。生き別れになった「おじさん」に会うため、コースを外れた小さな冒険を試みる。注目作家が手掛ける青春小説。

こんな人におすすめ

  • 芥川賞候補作が読みたい
  • 注目作家の作品が読みたい
  • 純文学をよく読む
  • 青春小説が読みたい
  • ミステリが好き

第169回芥川賞候補作に選ばれた、いま最も期待を集める作家の最新中編小説。修学旅行で東京を訪れた高校生たちが、コースを外れた小さな冒険を試みる。その一日の、なにげない会話や出来事から、生の輝きが浮かび上がり、えも言われぬ感動がこみ上げる名編。

文藝春秋HP

辻村深月『この夏の星を見る』

コロナ禍で部活動が次々と中止されてしまった全国の中学生、高校生たちがオンラインでつながり、星を見ることを通じて心を通わせる。本屋大賞&直木賞作家が贈る、次なる感動作。

こんな人におすすめ

  • 直木賞作家を読みたい
  • 本屋大賞作家を読みたい
  • 青春小説を読みたい
  • 天体観測が好き
  • コロナ期間が辛かった

亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。

コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。

KADOKAWA HP

以上、2023年6月の気になる新刊10選でした。
お気に入りの1冊をぜひ、見つけてください!

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