目次
はじめに
2023年3月の新刊900冊のなかから、現役文芸編集者の気になる10冊を厳選!
国民的作家の新刊から、注目新人作家のデビュー作まで、バラエティ豊かな3月刊をお楽しみください!
オススメ作品
古川真人『ギフトライフ』
安楽死と生体贈与が「ギフトライフ制度」という名称で公的に認められた世界。優生思想が蔓延したディストピアを描いた、芥川賞作家の意欲作。
こんな人におすすめ
- 芥川賞作家が読みたい
- 純文学をよく読む
- ディストピアが好き
- 『PLAN75』を観た
- 安楽死について考えたい
政府と企業により制度化された安楽死と人体実験のための生体贈与というギフトライフ制度。提供者の家族にはポイントが与えられる――人間の命の価値も変容するシステムの、老人や弱者の未来図の闇。優生思想の行き着く果てのディストピアは、もうすでに始まっているのかもしれない……人間の悪を問う、気鋭の長篇小説。
新潮社HP
川瀬七緒『四日間家族』
ネットでつながった4人の自殺志願者たち。練炭に火をつけようとした瞬間、赤ん坊の泣き声が……。最後の人助けのつもりが、誘拐犯として追われる身になった彼らが辿りつく真相とは。
こんな人におすすめ
- ミステリをよく読む
- サスペンスが好き
- 『ベイビー・ブローカー』を観た
- 家族について考えたい
- ドキドキハラハラしたい
自殺を決意した夏美は、ネットで繋がった同じ望みを持つ三人と車で山へ向かう。夜更け、車中で練炭に着火しようとした時、森の奥から赤ん坊の泣き声が。「最後の人助け」として一時的に赤ん坊を保護した四人。しかし赤ん坊の母親を名乗る女性がSNSに投稿した動画によって、連れ去り犯の汚名を着せられ、炎上騒動に発展、追われることに――。暴走する正義から逃れ、四人が辿り着く真相とは。
KADOKAWA HP
津村記久子『水車小屋のネネ』
18歳と8歳の姉妹が出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉。ネネに見守られながら、支え合い助け合い、ふたりが歩んでいく40年間の人生に寄り添う静かな感動作。
こんな人におすすめ
- 本を読んで感動したい
- 優しい気持ちになりたい
- 姉妹の物語が好き
- 人生に疲れている
- ファンタジーが好き
18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉。ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――。助け合い支え合う人々の40年を描く長編小説。毎日新聞夕刊で話題となった連載小説、待望の書籍化!
毎日新聞出版HP
川口俊和『やさしさを忘れぬうちに』
とある喫茶店で起こる、不思議な奇跡のタイムトラベル。世界320万部ベストセラー、『コーヒーが冷めないうちに』第5巻。
こんな人におすすめ
- シリーズのファン
- 『ツナグ』が好き
- 戻りたい過去がある
- 優しい気持ちになりたい
- 喫茶店によく行く
結婚を許してやれなかった父、バレンタインチョコを渡せなかった女、離婚した両親に笑顔を見せたい少年、名前のない子供を抱いた妻……止まってしまった「今」を未来へと動かすために過去に戻る、4人の男女の物語。
サンマーク出版HP
宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。全力で最高で無敵な幼馴染の成瀬とともに過ごす夏。とびきりの青春小説。
こんな人におすすめ
- 滋賀に縁がある
- 西武ライオンズが好き
- 青春小説が好き
- 本を読んで元気になりたい
- 注目作を読みたい
中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。さらにはM-1に挑み、実験のため坊主頭にし、二百歳まで生きると堂々宣言。今日も全力で我が道を突き進む成瀬から、誰もが目を離せない! 話題沸騰、圧巻のデビュー作。
新潮社HP
東野圭吾『魔女と過ごした七日間』
指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事が殺された。不思議な女性・円華に導かれ、父を亡くした少年の冒険が始まる。「ラプラスの魔女」シリーズ最新作。
こんな人におすすめ
- シリーズのファン
- ミステリをよく読む
- 警察小説が好き
- 夏休みに読みたい
- 冒険物語が好き
AIによる監視システムが強化された日本。指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事が殺された。「あたしなりに推理する。その気があるなら、ついてきて」不思議な女性・円華に導かれ、父を亡くした少年の冒険が始まる。少年の冒険×警察ミステリ×空想科学。記念すべき著作100作目、圧巻の傑作誕生!
KADOKAWA HP
坂本龍一・福岡伸一『音楽と生命』
20年来の友人であるという音楽の天才と生命の研究者が、さまざまな挫折を乗り越えながら現在に至るまでの道のりを語り合う。世界の最先端の対話集。
こんな人におすすめ
- 坂本龍一が好き
- 音楽、アートが好き
- 理系の学問に興味がある
- 世界の最先端を知りたい
- 死生観について考えたい
NHK「SWITCHインタビュー坂本龍一×福岡伸一」完全書籍化!80年代、テクノミュージックで一世を風靡した「教授」こと坂本龍一。以来、常に第一線で活躍し続けてきたが、近年は電子音楽とは対照的な自然の「ノイズ」を取り入れたサウンドを次々と発表。一方、「ハカセ」こと福岡伸一も、分子生物学者としてDNA解析に象徴される要素還元主義的な科学を追求してきたが、その方法論に疑問を抱き、生命現象を一つの「流れ」として捉える独自の生命哲学、動的平衡論を確立。20年来の付き合いという両者が、さまざまな挫折を経験しながら現在に至るまでの道のりを語り合う。コロナ・パンデミック以降、死生観が劇的に変わる今だからこそ、私たちの生を輝かせることに目を向けたい。音楽、アート、哲学、科学など、多方面に造詣の深い二人が、対話を重ねた末にたどり着いたものとは──。
集英社HP
又吉直樹『月と散文』
センチメンタルが生み出す爆発力、ナイーブがもたらす激情。芥川賞作家でありお笑い芸人でもある、又吉直樹の新作エッセイ集。
こんな人におすすめ
- エッセイをよく読む
- 『東京百景』が好き
- 芥川賞作家を読みたい
- お笑いが好き
- 夜にひとりで読みたい
いろんなものが失くなってしまった日常だけれど、窓の外の夜空には月は出ていて、書き掛けの散文だけは確かにあった―― 16万部超のベストセラー『東京百景』から10年。又吉直樹の新作エッセイ集が待望の発売!
KADOKAWA HP
五十嵐貴久『スカーレット・レター』
文芸編集者の澄香が、新人作家の和美と打ち合わせをするため泊まった温泉宿。そこで目についた赤い封筒……。老人の幻影、和美の友人の不審死、ベストセラー作家の失踪。驚愕のホラーミステリー。
こんな人におすすめ
- ミステリをよく読む
- ホラーが好き
- 岩手に縁がある
- 温泉旅館によく行く
- どんでん返しが好き
文芸編集者の春川澄香は、新人作家の山科和美と打ち合わせをするため岩手県に向かった。半日かけてやっとたどり着き、温泉宿の部屋で一息ついていると赤い封筒が目に入る。中に入っていた便箋を読むと歓迎の言葉が綴られていた。その時、窓に何かがぶつかる音が。おそるおそる確認してみるとカラスがぶつかり、血を流していた。それをきっかけとするように老人の幻影が現れ、何かを訴えようとしてきたのだ。和美の友人の不審死、ベストセラー作家の失踪……。全ての真相が暴かれた時、澄香が町を訪れた本当の理由が明らかになる!
実業之日本社HP
水沢なお『うみみたい』
卵生生物の生殖をケアする“孵化コーポ”でバイトする美大生のうみ。友人の「生まれたくなかった」という発言に……。中也賞受賞の詩人による初小説集。
こんな人におすすめ
- 詩が好き
- 純文学をよく読む
- 美大に興味がある
- 生命倫理を考えたい
- 反出生主義を考えたい
卵生生物の生殖をケアする“孵化コーポ”でバイトする美大生のうみは、才気煥発な同級生みみが抱える「生まれたくなかった」意志に触れ――。中原中也賞受賞の気鋭の詩人による初小説集。
河出書房新社HP
以上、2023年3月の気になる新刊10選でした。
ぜひ本選びの参考にしてみてください!