目次
はじめに
2022年12月の新刊780冊のなかから、現役文芸編集者の気になる10冊を厳選!
12月は年末のため新刊がやや少なめですが、毎年恒例のミステリガイドブックや実力派作家の新刊など、昨年末の読み逃しがないよう、チェックしてみてください!
オススメ作品
『このミステリーがすごい!2023年版』
毎年恒例の「このミステリーがすごい!」ガイドブックです。国内と海外のミステリランキングが紹介されています。今年の国内編1位は第167回直木賞候補作&本屋大賞ノミネート作にもなった呉勝浩さんの『爆弾』。ミステリ好きにはたまらない1冊です。
こんな人におすすめ
- ミステリが好き
- いま旬の作家を知りたい
- 人気作品を読みたい
- お得感を味わいたい
- 出版業界に興味がある
34年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。巻頭では『ジョジョの奇妙な冒険』35周年を記念し『岸辺露伴は動かない』を特集。荒木飛呂彦さんへのインタビューや、作家の伊坂幸太郎さん・辻村深月さん・法月綸太郎さん、脚本家・加藤敏幸さんが荒木作品を語るエッセイ、脚本家・小林靖子さんへのメールインタビューを掲載します。また、西村京太郎さん追悼企画も。有栖川有栖さん・大山誠一郎さん・千街晶之さんに「トラベルミステリー」「本格ミステリー」「社会派ミステリー」の三つの視点から、作品を紹介してもらいます。西村さんの担当編集者による座談会も必読です。各業界人も注目する2022年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20、超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど、例年の人気コンテンツも充実の一冊です。
宝島社HP
横関大『闘え!ミス・パーフェクト』
ドラマ化&映画化の人気作『ルパンの娘』原作者による注目の新作です。「その問題、私が解決させていただきます」が決め台詞の超優秀キャリア官僚・真波莉子による痛快お仕事エンタテインメント。快作間違いなし!
こんな人におすすめ
- 『ルパンの娘』が好き
- 『半沢直樹』が好き
- お仕事小説を読みたい
- 官僚に興味がある
- ミステリをよく読む
『ルパンの娘』(ドラマ化、映画化)、『K2』(ドラマ化)の著者による、世直しエンタメ。前代未聞、全知全能、自由自在。ミス・パーフェクトの問題集……全問正解なるか?!真波莉子は厚生労働省雇用環境・均等局総務課に所属している。いわゆるキャリア官僚だ。
幻冬舎HP
第一問 某政治家の炎上発言を収束させなさい。
第二問 某ファミレスの売り上げワーストワンの店舗を何とかしなさい。
第三問 某航空会社の客室乗務員のセカンドキャリアについて考えなさい。
第四問 赤字経営が続く某市立病院の経営を立て直しなさい。
炎上霞ヶ関→売り上げ最下位ファミレス→リストラ航空会社→赤字病院。進むところ、問題あれど、敵はなし!
堂場瞬一『風の値段』
『アナザーフェイス』シリーズなどが人気の作者による最新刊。警察小説好きは必見です!タイトルに込められた意味も気になります。
こんな人におすすめ
- 警察小説が好き
- ミステリをよく読む
- 技術職に就いている
- 風力発電に興味がある
- 読み応えのある本が好き
新橋署生活安全課の刑事・天木淳は洋上風力発電の最新技術データが、業界トップメーカーから、ライバル社に流出していることを知る。捜査を始めると、国内どころか海外への技術流出が目前であることが分かった。内偵捜査を始めると、鍵を握る人物が、大学時代の友人であることがわかった。卒業して二十年、まったく違う道を歩いていたふたりの運命がいま交錯する。堂場瞬一警察小説の醍醐味満載の傑作長編小説!
小学館HP
冲方丁『骨灰』
歴史小説『天地明察』『光圀伝』やミステリ長編『十二人の死にたい子どもたち』で知られる作者による「進化し続ける異才が放つ新時代のホラー」と銘打たれた本作。あらすじだけで震えてしまいます……。
こんな人におすすめ
- ホラー小説が好き
- 衝撃や恐怖を感じたい
- ミステリをよく読む
- 非日常を体験したい
- 一気読みしたい
大手デベロッパーのIR部で勤務する松永光弘は、自社の高層ビルの建設現場の地下へ調査に向かっていた。目的は、その現場について『火が出た』『いるだけで病気になる』『人骨が出た』というツイートの真偽を確かめること。異常な乾燥と、嫌な臭い――人が骨まで灰になる臭い――を感じながら調査を進めると、図面に記されていない、巨大な穴のある謎の祭祀場にたどり着く。穴の中には男が鎖でつながれていた。数々の異常な現象に見舞われ、パニックに陥りながらも男を解放し、地上に戻った光弘だったが、それは自らと家族を襲う更なる恐怖の入り口に過ぎなかった。
KADOKAWA HP
川越宗一『見果てぬ王道』
2018年に松本清張賞を受賞してデビュー、つづく2作目で第162回直木賞を受賞した『熱源』の作者が香港を舞台に描く大河小説です。誰かを応援したい、そして誰かに応援されたい人のための1冊。
こんな人におすすめ
- 大河ドラマが好き
- 直木賞作家を読みたい
- 歴史小説が好き
- 香港の歴史に興味がある
- 情熱を取り戻したい
長崎の貿易商・梅屋商店の跡継ぎとして育った庄吉は、香港で写真館を経営する。そこで出会ったのが、清朝を打倒し、西洋の武力支配からの自立を目指す若き孫文だった。西洋列強による東洋の侵略に理不尽を感じていた庄吉は、孫文の情熱を知り、革命を支援することを約束する。庄吉はやがて、日活の前身となるMパテー商会を創立。黎明期の映画事業は大成功を収め、その資金で革命を支援し続ける。実業家・梅屋庄吉の熱き生涯を描く!
文藝春秋HP
誉田哲也『妖の絆』
『ストロベリー・ナイト』『武士道』シリーズで人気の作者による「妖」シリーズ第3作。最強ヒロイン×バイオレンス・アクション×純愛のエピソード・ゼロです。
こんな人におすすめ
- 「妖」シリーズが好き
- アクション映画が好き
- 純愛を読みたい
- 時代小説をよく読む
- 鬼滅の刃が好き
人の血を啜り、闇から闇へと生きる絶世の美女・紅鈴が、江戸の世で出会ったひとりの少年、欣治。吉原に母を奪われ、信じていた大人たちにも裏切られた。そんな絶望の中でなお、懸命に生きる欣治との出会いが、孤独な闇を生きてきた紅鈴に思いがけない感情を芽生えさせる。「こんな腐った世の中に、こんなにも清い魂があるものか。この汚れなき魂を、あたしは守りたい」欣治を“鬼”にする――。その、後戻りできない決断の先に待ち受ける運命とは⁉
文藝春秋HP
薬丸岳『罪の境界』
『天使のナイフ』『Aではない君と』など少年犯罪ミステリを扱ってきた著者による、無差別通り魔事件の被害者を描いた本作。被害者と加害者、決して交わることのなかった人生が交錯した時――、明らかになる衝撃の真実とは。
こんな人におすすめ
- 犯罪小説が好き
- 最後に衝撃を感じたい
- 社会派小説を読みたい
- 加害性について考えたい
- 新聞記者に興味がある
「約束は守った……伝えてほしい……」それが、無差別通り魔事件の被害者となった飯山晃弘の最期の言葉だった。自らも重症を負った明香里だったが、身代わりとなって死んでしまった飯山の言葉を伝えるために、彼の人生を辿り始める。この言葉は誰に向けたものだったのか、約束とは何なのか。
幻冬舎HP
上田秀人『継ぐ者』
歴史小説の名手が徳川家の悲劇の謎に迫る――、数々の時代小説を手掛けてきた作者が描く戦国ドラマ。大河ドラマ「どうする家康」の予習も兼ねて読みたい1作です。
こんな人におすすめ
- 大河ドラマを見ている
- 戦国時代に興味がある
- 歴史小説をよく読む
- 歴史の勉強をしたい
- 徳川家について知りたい
大名徳川家の存続か、それとも息子の命か、青年武将・徳川家康、究極の選択! 家康と嫡男、悲劇の戦国ドラマ織田信長が今川義元を討ち取った桶狭間の合戦の後、松平元康は今川家からの独立を目論む。
KADOKAWA HP
名前を家康と変え、妻の瀬名と人質になっていた嫡男竹千代を今川家から取り戻し、竹千代を信長の娘と結婚させて織田家と同盟を結んだ。さらに姓を徳川と変えた家康は、元服して名を信康に改めた嫡男を岡崎城の守りに残して東進し、遠江を攻略する。織田は西へ、徳川は東へ。徳川家の前途は洋々かと思われたが……。
窪美澄『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』
代表作は『ふがいない僕は空を見た』『トリニティ』の実力派作家、第167回直木賞を受賞した『夜に星を放つ』につづく最新作です。生と死をめぐる希望に満ちた成長物語。
こんな人におすすめ
- 直木賞作家を読みたい
- 未来に不安を感じている
- 自分に自信がない
- 「死」について考えたい
- 成長物語を読みたい
都心の古ぼけた団地で5歳上の姉・七海と暮らすみかげ。父とは死別し、母は数年前に出て行ったきり。デリヘルで家計を支える姉に心苦しさを覚えながらも、ぜんそく持ちで、かつ高校でいじめに遭い、夜の学校に通っていることもあり、自分の無力さにうちひしがれて、未来に希望が持てず「死」に惹かれはじめる。そんな彼女の前に団地警備団を名乗る奇妙な老人・ぜんじろうが現れ、みかげの日常が変わっていく――。
筑摩書房HP
門井慶喜『江戸一新』
映画化でも話題、第158回直木賞受賞作『銀河鉄道の夜』作者による王道時代小説。老中・松平信綱を主人公に、大火事からの再興を果たすまでを描きます。
こんな人におすすめ
- 直木賞作家を読みたい
- 大河ドラマが好き
- 時代小説を読みたい
- 江戸文化に興味がある
- 再興物語を読みたい
江戸の大半が焼けた史上最大の惨事「明暦の大火」からの復興に立ち上がった男がいた。代官の息子から出世を遂げた老中・松平伊豆守信綱。現在の東京に繋がる大江戸への「建て替え」が始まる。
中央公論新社HP
以上、2022年12月の気になる新刊10選でした。
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